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雑　感　２

わたしは時々按摩さんにかかる。６０年配の治療師がマッサージしてくれる。その間いろいろ話すこととなる。こんな話があった。
「この間盲学校に行ってきました。私の母校なんです。先輩の体験談などを話してくれといって呼ばれるのですが…。最近は生徒の数がうんと少なくなっていますね。わたしたちの頃は１クラス３０人ほどあったのですが、いまは１０人足らずですよ」
「どうしたのですか」
「昔に比べて障害を持って生まれてくる子がぐんと少なくなっているのですね。寄宿舎にしたってわたしたちは１部屋に２，３人多いときは４人入ったのですが、いまは悠々１人１室ですよ」
「いいことですね」
「そう。でも気の毒なことができてきているのです」
「何です」
「彼らの働く場所が次第に狭められてきているのです」
「なぜです」
「健常者がわたしらの仕事の世界に入ってくるからです。まあ、こういう仕事は昔からわたしら障害者のものだったですね。でもマッサージの需要は今も昔も同じでしょう。だから仕事する者が少なくなると、健常者がそこに入ってくるんですね」
「うーん」
「するとね、病院や施設などで治療師を採用するとき、健常者がどうしても有利になるんですよ」
　なるほど、障害児が減ることはとても喜ばしい。でもそのことが、将来の職場の門を狭くしているなんて、考えていなかった。よいことが、どこまでもよいこととして、続くのではないのですね。